2024.09.11 wed

アートインカントリーオブトウキョウ2024 (アイコット2024)は、東京23区&多摩地区と式根島を舞台に、6か国・40名近くのアーティストが参加する、今年で2回目を迎えるアートフェスティバルです。
1部は、AICOTの代表である韓成南が企画する8mm映画と16mm映画の「個人映画」作家2名によるプログラムです。廃墟映画の代名詞、関根博之と究極の自家現像で16ミリフィルムを作り上げる能登勝の作品上映を行います。 AICOT 2024は、1986年よりクレルモン・フェランにて、国際デジタルアート・フェスティバルを開催してきたVIDEOFORMESのディレクターを招聘します。ガブリエル・スシェールによると、新しい技術は、常に新たな疑問を投げかけ、新たな可能性をもたらすとし、40年間、芸術の変遷を目の当たりにしてきた氏によるセレクションー新たなテクノロジーとともに、時にはそれらに抗いながら作られてきたー映像作品を2部でご紹介します。

タイムスケジュール
1部
14:45 開場
15:00 - 16:00 関根博之による8mmフィルム作品上映
16:15 - 17:15 能登勝による16mmフィルム作品上映
17:30 - 18:00 関根博之、能登勝、韓成南による鼎談

2部
18:45 開場
19:00 - 20:00 VIDEOFORMES 上映プログラム「Video Art, a journey」
20:00 - 20:30 ガブリエル・スシェールによる講演
20:30 - 21:00 ガブリエル・スシェール、韓成南による対談

全席自由席、各回入れ替え制、開場は開映15分前

1部・2部 前売1800円 当日2000円
通し 前売3000円 当日3500円

※申込者のご都合によるキャンセルおよび返金はお受けしておりません。予めご了承ください。


映像上映プログラム by AICOT(日本)

関根博之 / Tokyo Sampo Vol.1 / Single-8 / 28min. / 1987 / 日本

関根博之 / 大久保の廃墟 / Single-8 / 12min. / 1989 / 日本

関根博之 / 井荻の廃墟 / Single-8 / 8min. / 1989 / 日本

≪Tokyo Sampo Vol.1≫
関根博之 / Single-8 / 28min. / 1987 / 日本

「エチュード」を作った後、しばらく映画を作る事ができず、東京の河川沿いなどをひたすらほっつき歩いている内、ようやくカメラを風景に向ける自信が湧いて来て、気持ちの良い風景、ほっとする風景を撮りためていった。それから後、人気のない場所で思う存分カメラを回す試みを模索していく事となる。

≪大久保の廃墟≫
関根博之 / Single-8 / 12min. / 1989 / 日本

大久保駅からちょっと歩いた百人町に、コンクリート試験場だかの広大な廃墟を見つけた。入り込む場所を探すと、隣の化学工場との境のフェンスが壊れているところがあって、人が入り込んだ形跡がある。さっそくその穴を利用して撮影を始めた。その試験場跡は南側が工場と研究所、北側が宿舎や事務所になっていて、宿舎の一室が警備員の詰め所になっていた。新宿という場所柄か、路上生活者が使ったと思われる道具があちらこちらにあった。ここは1991年ごろに取り壊された。

≪井荻の廃墟≫
関根博之 / Single-8 / 8min. / 1989 / 日本

西武新宿線井荻駅の北に広大な廃墟を見つけた。金網のフェンスに入り込めそうな場所を見つけ、忍び込み撮影を始めたが、正門近くの建物に入ろうとしたところ、警備員に見つかってしまった。どうなることかと思ったが「お願いです。あと30分撮らせてください」という私の身勝手な頼みを聞いてくれた。私は大急ぎで沈みかける夕陽のなか撮影することができた。


映像上映プログラム by AICOT(日本)

能登勝 / 夢のフランス / Single-16 / 6min. / 2009 / 日本

能登勝 / 柿 / Single-16 / 7min. 2sec. / 1999 / 日本

能登勝 / 夢代七 / Single-16 / 7min. / 2013 / 日本

能登勝 / 夢代九 / Single-16 / 6min. / 2001 / 日本

能登勝 / 夢寐 / Single-16 / 6min. / 2024 / 日本

能登勝 / 耕す / Single-16 / 10min. / 1996 / 日本

≪夢のフランス≫
能登勝 / Single-16 / 6min. / 2009 / 日本

映像の墓地はペール・ラシューズ。後日ブラッケージもこの墓地を訪れた事を知った。テキストは帰りの飛行機内で見た夢です。

≪柿≫
能登勝 / Single-16 / 7min. 2sec. / 1999 / 日本

夢は目覚める瞬間にある程度日常的なフォーマットに変換されるらしい。映画は編集によってそれがなされる。

≪夢代七≫
能登勝 / Single-16 / 7min. / 2013 / 日本

ルチオ・フォンタナに「空間概念 期待」という作品がある。塗り込めた画布にナイフの鮮やかな切れ目がある。フィルムでそれを試みたら空間は時間となった。

≪夢代九≫
能登勝 / Single-16 / 6min. / 2001 / 日本

B &Wはカラーに対しラチチュード(表現できる明暗の幅)が10:7と広い。故に暗部と明部はカラーより深く追求できる。また軟調表現や硬調表現もフィルムや現像液の選択で可能となる。

≪夢寐≫
能登勝 / Single-16 / 6min. / 2024 / 日本

ネガを現像の途中で電子レンジへ入れると所々加熱で像が潰れる。その潰れたところに別の映像を焼き付ける。自身でコントロール出来る範疇を超えた視覚的リズムが生まれる。

≪耕す≫
能登勝 / Single-16 / 10min. / 1996 / 日本

数本のネガフィルムを一本のポジフィルムに明転暗転をランダムに繰り返す。映像として現れるかどうかは全て偶然に委ねている。


映像上映プログラム by VIDEOFORMES(フランス)

19:00 - 20:00
VIDEOFORMES 上映プログラム
Video Art, a journey

ドミニク・ベロワール / 風景の写真 / digital / 5min. 30sec. / 1985 / フランス

ロベルト・カヘン & アラン・ロンゲ / ヴィデオ葉書 / digital / 4min. 20sec. / 1986 / フランス

ジュリアーナ・クネアス / 制御不可能ゾーン / digital / 5min. 4sec. / 2011 / イタリア

ジェローム・ルフデュプ / 補遺 / digital / 5min. 5sec. / 2016 / フランス

ボリス・ラベ / 造山作用 / digital / 7min. 30sec. / 2016 / フランス

グリ・シルバースタイン / 我々が小さなループの中で生きるどこか / digital / 5min. 49sec. / 2020 / イギリス

イザベル・アルヴェール / リキッド・フォレスト / digital / 11min. 34sec. / 2023 / フランス

イスマエル・ジョフロワ・シャンドゥティス / バーチャル金継ぎ / digital / 11min. 56sec. / 2022 / フランス

≪風景の写真≫
ドミニク・ベロワール / digital / 5min. 30sec. / 1985 / フランス

≪風景の写真≫は、1982年から1985年にかけて、ブルトンの海岸線の断片を撮影した100枚の写真から、四季を通じて同じフレーミング、海と潮の動き、空、風、光、雲、前景の沿岸植生を厳密に配慮して制作された。 
一連のクロスフェードを通して、色と照明が絶え間なく変化する演劇の舞台を思わせる、固定された風景を目にすることができる。この瞑想的な作品は、ジャン=イヴ・ボスールによるオリジナル音楽付きで、2010年にデジタル・リマスターされた。

≪ヴィデオ葉書≫
ロベルト・カヘン & アラン・ロンゲ / digital / 4min. 20sec. / 1986 / フランス

夢を見る30秒。ポストカードがヴィデオで蘇る。世界中の不朽のイメージ集。

≪制御不可能ゾーン≫
ジュリアーナ・クネアス / digital / 5min. 4sec. / 2011 / イタリア

≪制御不可能ゾーン≫のステレオスコピック3Dアニメーションには、Waterproof(ウォータープルーフ)、Crystal Growth(クリスタルの成長)、Rompere le acque(破水)、Fire Flows(火流)などのサイクルがあり、自然災害や生態系の崩壊など、現在緊急に直面している問題に捧げられている。海嵐の波、洞窟の神秘的な峡谷、火山の溶岩流、巨大な氷山の衝突など、現実との直接的な関係を築く「もうひとつの風景」であり、予測不可能な旅である。このシリーズは、荘厳さという概念から着想を得ており、Caspar David Friedrich や William Turnerといったロマン派絵画の主人公たちへのオマージュでもある。自然のエネルギーから湧き出る暴力だけでなく、生態系を尊重することなく宇宙の運命を支配できると信じる個人の傲慢さが大災害の現代的な側面を照らし出す。 

≪補遺≫
ジェローム・ルフデュプ / digital / 5min. 5sec. / 2016 / フランス

The Visible Human Projectによってデジタル化された2つの人体の再構築は、変化し、歪められていく。ゆったりとした幽玄なワルツの中で、亡くなったカップルに生命と感情を取り戻すかのように…。

≪造山作用≫
ボリス・ラベ / digital / 7sec. 30s. / 2016 / フランス

抽象化への旅。山がどのように形成されたかに関する仮説として。

≪我々が小さなループの中で生きるどこか≫
グリ・シルバースタイン / digital / 5min. 49sec. / 2020 / イギリス

機械学習技術をベースにした映像生成ツールが、自然の情景や人間の生活映像を次々と学習し、再現していく。リズミカルで催眠術のようなテンポで織りなされる映像の断片や動きのパターンは、出現しては、生まれ変わり、崩れていく。

≪リキッド・フォレスト≫
イザベル・アルヴェール / digital / 11min. 34sec. / 2023 / フランス

バオバブが姿を消している。スポンジのような木は、水を蓄える完璧な受け皿となるのだが、この10年間枯れ続けている。《Liquid forest》(リキッド・フォレスト)では、観客が急流に飛び込み、バオバブの中やサンゴの中を泳ぎ、ジェンダーフルイドに世界に溶け込んでいく。全てが一体化して、二元論では語れない宇宙・複数を超える現実に没頭するようあなたを誘う。

≪バーチャル金継ぎ≫
イスマエル・ジョフロワ・シャンドゥティス / digital / 11min. 56sec. / 2022 / フランス

≪バーチャル金継ぎ≫は、10人の鑑賞者が和紙で覆われた10枚の傷んだ絵画の原型を想像するヴィデオアートシリーズである。鑑賞者の言葉をもとにAIが絵画を再生し、保存の無限の可能性と人間と機械の創造性の関係を探る。

≪Video Art, a journey≫

ヴィデオアートのパイオニアたちは、フランスだけでなく世界中のアート界からやってきた。新しい技術は、常に新たな疑問を投げかけ、新たな可能性をもたらす。 

最も創造的な、美術史にその作品を残すアーティストたちは、テレビの研究所(ヴィデオはテレビの娘とも言える)音楽の研究所や美術学校で実験を行った。フィクションのための新しい脚本、アニメーションのための新しいパラダイム、さらには実験的で視覚的な芸術を発明することによって、ヴィデオは、コンピュータ生成画像、ジェネレイティブ・ヴィデオ、バーチャル・リアリティ、ヴィデオゲーム、没入型体験、インタラクティブ体験へと進化してきた。最終的に、ヴィデオは近年、演劇、ライブ音楽、あまり伝統的でない混合形式の芸術といった、より伝統的な芸術形式を引き継ぎ、良い意味で変質させてさえいる。 

VIDEOFORMESは創立以来40年間、フェスティバルの一環として、このような発展やさまざまな形の研究を見守り続けるとともに、アーティストを住居、制作、配給の面において支援し、研究やクリエイティブな行為と密に繋がってきた。その中で、VIDEOFORMESは、特に人間と環境との関係、自然との関係、他者との関係において、さまざまな世代の関心事が浮かび上がってくるのを目の当たりにしてきた。 

AICOT 2024のために選ばれた作品は、不完全かつ未完結ではあるが、豊かで複雑な、しかし典型的な芸術の旅路を表現している。作品は機械の破壊に対する詩的なアプローチから始まり、コンピュータ、アルゴリズム、人工知能へと、芸術の過程において常にそうであったように、新たなテクノロジーとともに、そして時には抗いながら続いていく。 

ガブリエル・スシェール 

VIDEOFORMESは、デジタル技術と詩が実現可能な世界を定義する、新たな芸術形態の観測所・研究室・プロデューサー・普及活動家として活動しています。毎年クレルモン・フェランで国際デジタルアート・フェスティバルを開催し、インスタレーション、ヴィデオ、パフォーマンス、バーチャルリアリティなど、ハイブリッドで変幻自在な創作の活力を表現しています。 

VIDEOFORMESは、毎年アーティスト・イン・レジデンスを実施、国内外の文化イベントに参加し、学際的な実験的パフォーマンスのプログラム、デジタルマガジン(Turbulences Vidéo)、デジタルアーカイブ、芸術・文化教育プログラムの提案を行なっています。